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スナイパーに求められる能力〜M14〜VSR


 先日「究極対決、世界の凄腕スナイパー」というドキュメタリー映画を観ました。内容は全米の軍や警察組織等のスナイパーチーム(スナイパーとスポッターのコンビ)が集まり、数々の狙撃競技種目のポイントを競い、全米1位を目指すというものでした。参加チームは、陸軍、レンジャー部隊、州兵、警察、スワット、湾岸警備隊、軍の狙撃学校の教官等、各方面の狙撃のスペシャリスト隊員の代表(映画タイトル通りの凄腕スナイパー)でした。この映画を観る前は、映画「ハートロッカー」の狙撃シーンのように、物凄く離れた距離の小さな的や動く的を正確に射撃するような競技をするのかと想像していました。しかし、その想像とは全く異なり、競技内容はどれも、射撃は競技の最後の最後に1発もしくは数発撃つだけで、射撃する環境や、狙撃地点に辿り着くまでが肉体的にも精神的にも非常にハードな設定のものでした。中には「射撃は無し」という競技種目もありました。印象に強く残ったいくつかの競技種目の概要を是非とも紹介(引用:「究極対決、世界の凄腕スナイパー」より)したいと思います。その内容は以下の通り。

(狙撃地点への移動)

 スタートしたら、先ず敵が立て篭もる建物を2名で制圧してから、狙撃地点へ向かい1発必中でターゲットを撃つという種目。建物を制圧する場面は、狙撃とは一切関係無いと思われるスキルが必要とされ、殆ど特殊部隊がテロリストが立て篭る建物に突入制圧するような種目でした。建物制圧時はライフルは背中に背負い、拳銃のみで敵を排除していきます。更に、競技者には「制圧途中にスナイパーが腕を負傷してライフルが撃てなくなる」という状況設定を大会スタッフから突然言い渡され、最終狙撃はスナイパーとスポッターが急遽入れ替わるという「急なハプニングを乗り越える能力」も試されていた。

(救護しながらの狙撃)

 味方を救護搬送しながら狙撃するという種目。こちらも殆ど救護兵の仕事ではないのかと思えるような種目。狙撃と救護という全く違う任務をマルチタスクで遂行するというかなり難易度が高い種目。

(スクランブル発進狙撃)

 基地内で睡眠休息しているところを突然襲撃してきたところを反撃するという設定の種目。ベットで寝ている状況から爆音(敵の砲撃)でスタートし、段取よく装備を準備装着した後、基地内の見張り台まで駆け上り、カモフラージュした敵を発見してから狙撃するという内容。ポイントは段取りよくスピーディーに臨戦体制を整え(消防士が緊急出動するような感じ。狙撃とは直接関係ないような気がする)、見張り台頂上までダッシュで駆け上がり、ゼーハーと息が思いっきり上がっている状態で時間内に正確な「索敵」「狙撃」を行う。見た目以上にハードな「段取り力』を問われる種目。

(マラソン狙撃)

 完全武装で5キロ程の距離をランニングしてから、休む間も無く疲労困憊の状態での狙撃。シンプルな内容だが、心身共に疲れ切った極限状態での集中力が問われるこちらもハードな種目。

(夜間狙撃)

 夜間暗闇の中、暗視ゴーグルを付けての狙撃種目。しかし、狙撃と狙撃の間に暗闇の中、完全武装で数十メートルの全力ダッシュを繰り返し、狙撃は伏射、立射、スポッターをバイポット代わりに狙撃と様々な射撃姿勢が指定される。近年のミリタリーシーンでは「暗闇を制する者が戦場を制する」とまで言われており、今回の大会でも獲得ポイントが高く設定されている。暗闇での正確な狙撃は当たり前で、息切れし、身体中の筋肉に乳酸がガッツリ蓄積された状態で射撃すると言うスポーツ選手並の身体能力が要求される過酷な種目である。

(ヘリからの狙撃)

 150m離れた3つのターゲットの内、どれでも良い(連続して同じものでも良い)ので10発射撃してその命中弾数を競う種目。しかし、こちらもただ普通には射撃させてくれない。何とホバリングするヘリコプターからの射撃である。ヘリも射手も弾も風や気流にモミクシャにされながらの射撃である。今回の大会では最高難度の射撃となっていたようで、大半のチームが命中0で「得点無し」という結果だった。「命中させる事がほぼできない」という状況設定で何を競わせるのだろうと考えたが分からない。「運」や「根性」なのだろうか。それでも命中させたチームはあり、最高成績は3発命中というものだった。命中0が殆どの中、3発命中させるという事は奇跡に近いような気がする。そういえば、映画「ブラックホークダウン」に登場する私の憧れの人物であるシュガート軍曹と相棒のゴードン曹長はデルタの狙撃手という設定で、作戦遂行中ヘリに乗っていた事を思い出した。ヘリからの狙撃による味方の援護や敵スナイパーの排除があの「アイリーン作戦」での彼らの任務の一つだったのだろうか。もしそうだとしたら、あのコンビは、かなりの凄腕だった事が予想できる(引用:映画ブラックホークダウン」より。

(フィールドアスレチックでの短期記憶)

 射撃は一切行わず、フィールドアスレチックの怪我するレベルのスーパーハード版のような過酷なコースを基準タイム内にゴールできるペース(ほぼダッシュ)で進みながら、コースの途中の様々な場所に然りげ無く置いてあるミリタリー関連小物(手榴弾、地雷、爆弾、マガジン、拳銃、地図、無線機等)をできる限り多く発見し、その名前と場所を記憶しながらゴールするという、精神と肉体を追い込みながら短期記憶の限界に挑戦する競技種目。尚、ゴールした後に小物の名前と場所を回答用紙に記入する時間はたった2分(この間ゼーハーと息切れ状態)であり、想像しただけで身も頭も心もグッタリと疲れてしまうような種目だ。スナイパーは任務中の極限状態での些細な「気付き」や「記憶」が生死を分けるのであろう。

(索敵)

 狙撃ポイントから動かず、辺りの森や山からターゲットを探し出し、射撃する種目。ターゲットはブッシュや樹木の間に目立たないように配置されており、発見できなければ射撃もできないという内容で、正に「索敵能力」が試される分かり易い種目。サバゲー中に索敵できずに1発も撃たないでゲームが終了するという経験を思い起こさせるような種目でした。素人が考える索敵に必要なものは「視力」「集中力があり且つ広い視野」「コツ」「経験」と私は思っている。軍用の性能が非常に良いスコープを使用していたとしても、とんでもなく遠く且つ偽装したターゲットを発見するシーンを観て、「人間離れしている」、「ある意味、この能力が一番欲しい。サバゲーだったら沢山ヒット取れるだろうな〜」と感じた。

(偽装&ハプニング)

 大会最後の種目は敵に発見されずに制限時間内に森林地帯を移動してターゲットにできる限り近づき、制限時間終了後、その地点から1発だけ射撃し、必中させるという種目。敵の監視はターゲットの地点から軍の「索敵」のスペシャリスト2名がスコープと肉眼で監視する。ターゲットにどのルートでどの位の距離まで近づくかは各チームの判断に委ねられ、遠距離射撃に自信があるチームは発見されづらい遠くのポイントから、確実にターゲットを撃ち抜きたいという事なら発見されるリスクを覚悟し、できるだけ近くのポイントに移動する作戦となる。いずれにせよ、監視に発見された時点で失格となる。「敵に発見されない」というスナイパーの真骨頂である「偽装スキル」が試される種目であり、ギリースーツを利用した自らの偽装と敵にバレにくい地形や植物を利用したコース取りが大きなポイントとなる。だが、最後の最後にまたもやサプライズが用意されていた。この最終競技エリアに移動中の参加選手を乗せたトラック、これまで昼夜丸二日間に渡り疲労困憊の参加選手に取って、短時間だが心身を休める事ができる貴重な移動時間であった。しかし、突然、爆発音が鳴り響く。大会スタッフより、「敵の奇襲によりトラックは走行不能という設定となった。最終種目競技エリアまでの道を通常装備と偽装装備を担いで時間内に移動せよ」という指令が急遽降った。その距離や制限時間はタフな選手たちに取って、通常なら十分クリアできる設定だが、大会中、身も心も疲れ切った状態でのサプライズ設定という事もあり、直前までトラック内で寛いでいた事も重なり、その負荷は想像を絶するものであっただろう。


 以上、「狙撃能力」というより、「プレッシャー・ストレスの中で人間に備わるほぼ全ての能力」が試される競技内容である。私のサバゲーでの主な立ち回りスタイルは、正面戦闘や撃ち合いを避け、敵の側面や後方に隠密移動して、こちらの存在を気づかせない状況でサイレントキルを決める事を目標にしたものである。又、この目標を長くて重いM14を持って涼しい顔して達成するという最重要ポイントは外せない。このスタイルを思い返すと、確かに「殆どのパターンで射撃するのはゲームの後半であり、自分の位置を敵に悟られたくないのでトリガーを引くのは基本的にヒット確実の時(最小限)だけ(あまり多くの弾は撃たない)」であり、映画の競技内容にこの部分は少し似ている。このスタイルをスナイパー世界大会の各競技種目に、かなり強引だが当てはまりそうな部分だけ試しに当てはめてみた(雲泥の差があるが)。

●建物の制圧=狙撃ポイントまでの移動中に接敵した時の接近戦とよく似ている。

●救護しながらの狙撃=味方をメディック。

●休息状態からのスクランブル狙撃=休憩中ボーとした後、急いでゲームに入る支度をする。

●ランニング&ダッシュを交えた狙撃=スタートダッシュや傾斜地の移動。

●ヘリからの狙撃=急勾配等足元が不安定な状況での撃ち上げ、撃ち下ろし射撃。

●急なハプニングへの対応力=そのまま。

●難度の高い索敵=そのまま。

●偽装=そのまま。

●見つからないコース取り=そのまま。

●1発でターゲットを仕留める=そのまま。

(スナイパーの人格・パーソナリティー)  

 最後にもう一度、シュガート軍曹の話に戻る。シュガートの階級「軍曹」は俗に言う「一兵卒」からの叩き上げで、士官学校を卒業し配属され、いきなり下士官からスタートするエリート族とは違い、実力により這い上がって辿り着いたものである。又、軍曹は軍隊組織の最小単位である分隊(人数は10数名)の長となる階級である。分隊は軍における組織の最小単位だが、最重要単位(実際にトリガーを引き、敵を倒すのは最前線の兵士、まさに「現場」)とも言われている。又、軍曹は、新兵の面倒や兵士間の意志統一等の他、何と言っても一人一人の兵士の命を直接預かる存在である。実際、映画、ドラマ、本物の戦闘でも、最前線の肌感覚に疎い若い下士官より、百戦錬磨のベテラン鬼軍曹の意見の方が正しかったり重要視する場面は多々ある。そんな分隊を指揮するだけの技量・人格・パーソナリティーを備えつつも、自らのスキルに更に磨きをかけ、難易度が高く過酷な任務に就く道を選んだのが、デルタの軍曹シュガートやその相棒のゴードン曹長である。スナイパーは2名コンビや状況によっては単独での行動となるケースもあるが、実際には無線機等で味方の砲撃隊(迫撃砲、榴弾砲)や航空支援隊(爆撃、機銃掃射)、本隊や作戦本部と緊密に繋がっており、そんな場面で分隊を纏める事ができる技量・人格・パーソナリティー(責任感、コミュニケーション能力)は大いに活きてくるような気がする。この能力もサバゲーに当てはめてみると

●人格・パーソナリティー=初対面の味方の人との情報共有、連携、協力

となる。因みに私は初対面の方と話すのが大好きで、そんな方との連携や協力はサバゲーの楽しみの一つと感じています。

 こんな文章をダラダラ書いていたら、「結構私はスナイパー的な動きをしてるな」と勝手に思い込み、気分だけは「凄腕スナイパー」になってしまいました。今回のブログのようなウンチクに時々思いを巡らせ、これからもM14で遊んでいこうと思います。

終わり



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